【2006.11.22 ワインアドバイザーへの道 5】
基本技術講習会を終えた後と言うのは、今となってはもう、殆ど記憶に残っていない。 というのも、ティスティングのことはもとより、ニューワールドなども、講習会以前に「このくらいかな」と思っていたことよりも、はるかに膨大な量であり、とにかくあせっていたと言っていい。 とりあえず、夏休みの宿題よろしく、スケジュールを作り、ここまでで北アメリカ、ここまでで南アメリカ、その後その他ヨーロッパ、アジア、アフリカ、とかなり駆け足でニューワールド他の知識を覚えて行ったことだけは覚えている。 またティスティングに関しては、自分の現状と、講習会のレベルとのあまりの落差に、ほとんど何も出来なかったと言っていい。 ティスティンググラスは買っていたのだが、飲めば飲むほど分からなくなり、それらしい言葉をつむげばつむぐほど、自分に嘘をついているような気分になった。 都会ではワインスクールなるものがあって、そこで同じ志を持つものが一緒に勉強し、切磋琢磨できると思うのだが、その当時は、私の回りにはそういう人はおらず、また仕事も酒販が中心だったわけではないので、ティスティングに関しては、全くの独学だった。 それに、今思っても自意識過剰で恥ずかしいのだが、当時の私は行きつけの酒屋や、あるいはよく利用させてもらっていたネットショップの方に、「ワインの勉強をしているんです」ということを、言い出せないでいた。 もし、それをきちんと伝えていれば、きっともっと多くの情報や、あるいは一緒に頑張れる仲間も出来ていたかも知れないのだけれど、当時はそれがとても恥ずかしく、またタイミングも掴めないままだった。 そんなこんなで、8月の終わりに、初めてのワインアドバイザー試験の一次がやってきた。当初から聞いていた通りの、マークシート方式。センター試験を思い出して、どうにもマークシートは好きではないのだが、そんなことを言っている場合ではない、と自らを奮い立たせ、そして奇跡的にも、なんとか一次には合格したのだった。
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